In the wake of the Hamas attack, the Frankfurt Book Fair “indefinitely postponed” an appearance by Palestinian author Adania Shibli, who was due to receive a prize for her novel Minor Detail on October 20.
ドイツのブックフェアがパレスチナ作家の受賞式を延期した意味
ところが、その授賞式が無期限に延期されたのです。
したがって、ドイツ政府は以前よりイスラエルへの配慮から、イスラエルに敵対しテロ行為を行なってきたハマスを支持する集会などを抑制してきたのです。10月にハマスがイスラエルに攻撃を仕掛け人質をとると、ドイツはいち早くイスラエルへの支持を表明してきました。そして、その延長としてアダニア・シブリへの授賞式も延期したのです。
彼女の書いた小説『マイナー・ディテイル』は、ナクバと呼ばれる1948年のイスラエル建国時のパレスチナ人に対する弾圧をテーマにした小説です。その翌年にイスラエルの兵士によってパレスチナの少女がレイプされ、殺害された事件に興味をもったパレスチナ系の若い女性が、その事実を探ってゆく様子が物語の中に描かれています。ドイツ政府や団体がイスラエルを支持するなかで、この小説の受賞式にも待ったをかけたことは、言論への明らかな弾圧だと、パレスチナ系の人々のみならず、多くの作家や知識人が抗議活動を続けているのです。
ハマスのテロ行為に対するイスラエルの戦闘行為は世界を二分する
同時に、ユダヤ人の被ったホロコーストと、パレスチナの人々が受けている殺戮行為や抑圧は同じ人類への犯罪で、そのどちらも平等に非難されなければならないとも主張しているのです。当然、ユダヤ系の人々の中にもこの考えに賛同する人は多く、国家と個人とをいかに分けて考えるべきかという課題は、今世界に広がろうとしているのです。
これは、力あるものが行なう行為は咎められず、無力の人がなす術もないままに行う戦闘行為はテロとして咎められるという不平等が世界に存在しているという事実を示しています。
ロシアによるウクライナ侵攻は世界から咎められてはいるものの、自らが核大国であることから、ロシアで自国の領土や人々が直接懲罰の対象になることはありません。この図式は中国でも、アメリカでも同様で、大国は自国の行なうことは正当化できても、そこで被害にあっている人々は泣き寝入りをしなければならないという厳しい現実が当たり前のことになっているのです。
咎められるべき行為を等しく罰する知恵を絞ることが必要
Impunityの課題は、国家だけではなく、貧富の差や教育格差などといった社会の実態の中にも根深く存在します。
人ごとは人ごとで、できれば触れたくないという意識が世界に蔓延していることは、日本の社会をみてもよくわかります。教育の場でも言論の場でも、impunityという問題には目をつぶっている方が無難だという空気が充満しています。
しかし、人ごとといっているとき、明日は我が身だということを忘れていることが、人類全体の危機へと繋がっているのです。
このことを我々は考えながら、ドイツで起きた、まさに世界からみれば「マイナー・ディテイル」な出来事を分析してみたいのです。
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『外国人に日本を説明するためのたった3語のマジカルフレーズ300』
アンドリュー・ロビンス (著)、岡本茂紀 (編・訳)
ハーバード大卒の頭脳が考えた文化の異なる相手にもしっかり「伝わる」日本紹介
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