The ‘Gen Z Stare’: What It Means And Why Employers Can’t Afford To Ignore It?
「Gen Z Stare」とは何か
「Gen Z Stare」 という言葉があります。「ジェネレーションZ」に、見つめるという意味の「Stare」をくっつけた造語です。
いうまでもなく、ジェネレーションZとは、生まれたときからIT環境が整い、デジタルのなかで育ってきた世代を指します。おおよそ1990代後半から2010年代前半までに生まれた人々で、これまでにないコミュニケーションスタイルを持つことから、特別に「Z世代」と呼ばれるようになりました。
アメリカで、このZ世代の人々が、話しかけられたときに、相手を無言でじっと見つめる、そんな反応をすることから、「Gen Z Stare」という言葉がSNS上などで語られるようになりました。そして、この話題が最近とりわけ注目されている背景には、この新しい世代が大人になり、選挙権を持つ世代になってきたことがあります。
今回の中間選挙でも、彼らが無党派層の票の行方を左右し始めています。共和党だから、とか民主党だから、という党の名前ではなく、その時々に自分が感じている気持ちによって票が大きく動く、そんな、これまでにない選挙の傾向が見え隠れしているのです。
もともと、アメリカ人は雄弁で、積極的に自己アピールすることをよしとする常識があります。ところが、この世代はそうしたスタイルを持たず、自分とは異なる意見を示されたとき、あるいは上司などから自分の考えとは違う指示やフィードバックを受けたときなどに、ただ黙って相手を見つめる、という行動にでるのです。
これは、ふつうのアメリカ人の行動パターンや常識を完全に覆すものです。人によっては、「ロボットと話しているようだ」とか、「黙って無視するとは礼儀を知らない、社会性のない連中だ」といった批判の対象にもなるのです。

権威になびかない世代
しかし、Gen Z Stareと呼ばれる若者たちは、こうした批判に反発を隠しません。自分たちはただ正直に思いを表情に出しているだけだ、と言うのです。上司に媚びるのでも、他人に合わせるのでもない。興味のない話題なら、わざわざ反応する必要もない、と主張します。ときには、もう相手のいうことは理解できたのだから、敢えて「わかりました」と口にするのは無駄ではないか、と考えている場合もあります。古い世代からすれば、そうした反応に接すると、相手が何を思っているのか確認もできず、頭を抱えてしまうわけです。
さらに、Gen Z Stareたちは、世の中に対する価値観についても、過去とは異なる意識を持っています。権威があるとか、経験が豊富だといった、ふつうの人なら傾聴したがる対象に、あまり興味を示しません。地位のある人や、既存の新聞・テレビから一方的に情報を押し付けられても、それが自分の判断で正しいか、心地よいか、という視点で受け止めるのです。そして、理解できないとき、戸惑っているとき、あるいは自分とは相入れないと感じたときに、ただ黙って相手を見つめる、という行動に出ます。
それは、職場でもプライベートでも変わりません。彼らはふだん、テキストや短い文章、あるいは短い動画でメッセージを交換し、周囲に合わせるよりも自分らしさを物事の判断基準にします。地位よりも、自分に合ったキャリアを選び、これまで以上にアルゴリズムの影響を受けやすい世代だともいわれています。組織のなかで上級管理職へ出世することを野心とする若者が極端に少なくなってきたのも、この世代の特徴だといわれています。
共和党にしろ、民主党にしろ、この世代をどう取り込むか悩み抜いている、と識者は語ります。その時の社会の状況しだいで、票が右にも左にも動くからです。トランプ大統領の「アメリカ・ファースト」のメッセージに乗って、その二期目を後押しした同じ若者が、今度はバーニー・サンダースなどに代表される社会民主主義という、トランプ大統領の主張とは真逆の主張を掲げる人を応援する、といったことが、頻繁に起きているのです。
既存の民主主義に、権威や古臭さを感じる一方で、自由な判断を優先する。皮肉にも、より民主的とも言える行動に出ていることがその背景にあるのでしょう。
思いを言葉にして、しっかり話すべきだ、というアメリカの伝統的な価値観を覆すGen Z Stare世代に、政治的なメッセージをどう届けるか。それ以前の世代を生きてきた政治家たちの苦労が、確かに見えてきます。

世界に広がるZ世代
このように、それぞれの国のコミュニケーション文化の違いによって、Z世代の意思表示のしかたにも、さまざまな違いが見られます。
たとえば、インドの事例は興味深いものです。インド人社会は、伝統的に上下関係がはっきりしている一方で、議論や意見の表明にはためらいがない、といわれています。日本人から見ると押しつけがましく思えるほど、インド人はよく喋り、自分の意見を主張します。そんなインドでのZ世代は、意見の主張に代わって、「なぜ?」「どんな目的があるのですか?」といった質問が多く聞かれるようになっているといいます。Gen Z Stareのような現象はないものの、以前のように自らの主張を強く表明する人は、少なくなっているのです。洋の東西を問わず、Z世代と呼ばれる人々が、一様にSNSでのコミュニケーションを通じて育ってきたことに変わりはありません。彼らが、組織や社会に自分を合わせるのではなく、自分に合った社会のあり方を求めるとき組織のあり方を求めるとき、その行動様式が、それぞれの国の政治にまで影響を及ぼすようになりつつあることは、ただアメリカだけで起きている現象ではないはずです。Gen Z Stareと呼ばれる若者たちが、11月の中間選挙でどのような投票行動に出るのか。それは、アメリカのみならず、世界が注目しているテーマなのです。
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