TikTok is a national security threat, US politicians say…TikTok faces the most direct threat to its expansion in the US — not from a competitor, but from the US government.
TikTok は安全保障上の脅威と複数の政治家が指摘。アメリカで急速に拡大するTikTok はアメリカ経済への脅威以上に、政治的にも大きな脅威となる。
― CNN より
対中強硬姿勢の裏に見えるトランプの本音
今回は中国とアメリカとの関係について考えてみたいと思います。
ご存知のように、トランプ政権は発足以来、貿易問題、ファーウェイ(Huawei)などの通信機器関連の米国進出をめぐる問題、さらには香港での民主化運動の抑圧への対処など、一貫して中国との対立を続けてきました。
ご存知のように、トランプ政権は発足以来、貿易問題、ファーウェイ(Huawei)などの通信機器関連の米国進出をめぐる問題、さらには香港での民主化運動の抑圧への対処など、一貫して中国との対立を続けてきました。
しかし、それはトランプ政権の本音でしょうか。
確かにトランプ大統領は、政権発足当初から中国には強硬姿勢で臨んできました。同時に、中国を牽制するかのように、北朝鮮の金正恩氏との電撃会談などを通して、アジアでのプレゼンスも高めてきました。
確かにトランプ大統領は、政権発足当初から中国には強硬姿勢で臨んできました。同時に、中国を牽制するかのように、北朝鮮の金正恩氏との電撃会談などを通して、アジアでのプレゼンスも高めてきました。
しかし、コロナウイルスでの景気の後退もあり、アメリカ経済の立て直しという急務が大統領選挙の日程と重なった今、彼はできることなら、中国に対して振り上げた拳を下ろしたいのではないでしょうか。それも、自分が強硬手段に出たことによって中国が妥協する形で貿易問題などが解決すればなによりです。
北朝鮮との接触は、結局実りのないものに終わりました。
前回も触れたように、ボルトン氏などは、あれは大統領のパフォーマンスに過ぎなかったと批判している有様です。であれば、せめて中国との関係だけでも目に見える形での成果をあげたかったはずです。
ところが、そんなときに中国は、香港での政治活動を厳しく規制する法律を通過させ、一国二制度の形骸化を進めようとしてきました。
トランプ政権としては、それはいやなタイミングでした。中国との雪解けにブレーキをかけざるを得なくなるからに他なりません。
前回も触れたように、ボルトン氏などは、あれは大統領のパフォーマンスに過ぎなかったと批判している有様です。であれば、せめて中国との関係だけでも目に見える形での成果をあげたかったはずです。
ところが、そんなときに中国は、香港での政治活動を厳しく規制する法律を通過させ、一国二制度の形骸化を進めようとしてきました。
トランプ政権としては、それはいやなタイミングでした。中国との雪解けにブレーキをかけざるを得なくなるからに他なりません。
アメリカへ振り上げた拳の行き場に困った中国
では、中国から見ればどうでしょうか。
香港の民主化にくさびを打てば、中国政府が非難されることは誰が見ても明らかです。しかし、中国は仮にトランプ大統領が選挙に敗れ、バイデン政権が誕生したとしても、状況は変わらないと判断したはずです。
貿易摩擦の課題は、様々な政治的駆け引きでなんとか決着をみることは可能でしょう。しかし、香港の民主化への対応も含めた中国での人権問題、通信機器の問題、そして東アジアにおける覇権問題は、バイデン氏が政権を引き継いだあとでも両国にとって譲れない課題として残るはずです。
むしろ、バイデン政権が成立すれば、これらの課題はより大きな摩擦へと発展するかもしれません。
であれば、中国としてはアメリカが大統領選挙とコロナ問題で手一杯のうちに、自国の利益をしっかりと守る政策を実施したいと思うはずです。
香港の民主化にくさびを打てば、中国政府が非難されることは誰が見ても明らかです。しかし、中国は仮にトランプ大統領が選挙に敗れ、バイデン政権が誕生したとしても、状況は変わらないと判断したはずです。
貿易摩擦の課題は、様々な政治的駆け引きでなんとか決着をみることは可能でしょう。しかし、香港の民主化への対応も含めた中国での人権問題、通信機器の問題、そして東アジアにおける覇権問題は、バイデン氏が政権を引き継いだあとでも両国にとって譲れない課題として残るはずです。
むしろ、バイデン政権が成立すれば、これらの課題はより大きな摩擦へと発展するかもしれません。
であれば、中国としてはアメリカが大統領選挙とコロナ問題で手一杯のうちに、自国の利益をしっかりと守る政策を実施したいと思うはずです。
実は、中国も本音でいえば、香港での騒動は起こしたくはなかったはずです。
また、中国自体が政治に触れないかぎり、資本主義を国内でも認めて経済発展を遂げている以上、もともと自由経済の中で外資をはじめ、多くの資産が流入していた香港で波風を立てたくはなかったでしょう。
しかし、香港の犯罪者を中国に移送することを可能にした条例を急いだとき、香港では中国の予想を上回る抗議の渦に見舞われました。
その背景には、香港内での親中意識への過信があったはずです。また、台湾でも韓国瑜氏などを中心に、蔡英文政権に反対し、経済的にも中国との融和策を進める波が高まりつつあったことも、北京は意識していたはずです。
また、中国自体が政治に触れないかぎり、資本主義を国内でも認めて経済発展を遂げている以上、もともと自由経済の中で外資をはじめ、多くの資産が流入していた香港で波風を立てたくはなかったでしょう。
しかし、香港の犯罪者を中国に移送することを可能にした条例を急いだとき、香港では中国の予想を上回る抗議の渦に見舞われました。
その背景には、香港内での親中意識への過信があったはずです。また、台湾でも韓国瑜氏などを中心に、蔡英文政権に反対し、経済的にも中国との融和策を進める波が高まりつつあったことも、北京は意識していたはずです。
ところが、いざ一国二制度にメスを入れてみると、反発が思いのほか大きかったのです。そして、この抗議に屈してしまえば、習近平政権にとっては面子(メンツ)が丸つぶれとなり、政権基盤にも亀裂が入ってしまいます。
中国としても、舵取りを急ぎすぎたことに内心気付いていたでしょう。しかし、引き返すには、すでにいろいろなことが起こりすぎてしまいました。
さらに、このことで台湾が警戒心を強め、蔡英文氏が再選されてしまいます。
中国としても、振り上げた拳が下ろせないまま、アメリカと睨み合わざるを得なくなったわけです。
中国としても、舵取りを急ぎすぎたことに内心気付いていたでしょう。しかし、引き返すには、すでにいろいろなことが起こりすぎてしまいました。
さらに、このことで台湾が警戒心を強め、蔡英文氏が再選されてしまいます。
中国としても、振り上げた拳が下ろせないまま、アメリカと睨み合わざるを得なくなったわけです。
激化する米中冷戦、新たな火種は「SNS」ソフト
そこで注目したいのは、もう一つの火種である通信機器とSNSの問題です。
中国で開発された TikTok が世界に拡散し、トランプ大統領の遊説のボイコットにも使われたことは、以前の記事で解説しました。
アメリカは、こうした中国からの SNS をはじめとした通信ソフトが、中国の世論誘導や諜報活動に使われることを強く警戒しています。さらに、AI と通信技術の双方において、アメリカと中国はそのシェアの拡大をめぐり熾烈な競争に巻き込まれています。アメリカとしても中国としても、次世代の通信を押さえることは、必須の課題となっているはずです。
GAFA と呼ばれる Google をはじめとしたアメリカのIT企業は、すでにその枠を超え、消費者の全ての領域に浸透するテクノロジー会社に成長しています。これに対し、中国はまずは国内での通信からアメリカ企業を除外しながら、自らのシェア拡大を加速させているわけです。
中国で開発された TikTok が世界に拡散し、トランプ大統領の遊説のボイコットにも使われたことは、以前の記事で解説しました。
アメリカは、こうした中国からの SNS をはじめとした通信ソフトが、中国の世論誘導や諜報活動に使われることを強く警戒しています。さらに、AI と通信技術の双方において、アメリカと中国はそのシェアの拡大をめぐり熾烈な競争に巻き込まれています。アメリカとしても中国としても、次世代の通信を押さえることは、必須の課題となっているはずです。
GAFA と呼ばれる Google をはじめとしたアメリカのIT企業は、すでにその枠を超え、消費者の全ての領域に浸透するテクノロジー会社に成長しています。これに対し、中国はまずは国内での通信からアメリカ企業を除外しながら、自らのシェア拡大を加速させているわけです。
20世紀後半は「冷戦」といえば核の拡散が課題でした。そして、その副産物として宇宙への進出が米ソの対立を煽っていました。
現在は、通信ソフトのシェアをめぐる競争こそが、核に変わった米中冷戦の最大の課題となっているのです。
現在は、通信ソフトのシェアをめぐる競争こそが、核に変わった米中冷戦の最大の課題となっているのです。
次のアメリカ大統領選挙の結果がどうなろうと、この課題の上に人権への問題などが絡み、米中の融和を困難にしている状況は変わりません。
今、中国は英語教育を含め、自国への教育に海外が影響を与えることを極度に嫌う傾向が見え始めています。
日本や韓国、そして台湾がこうした中国の新たな動きにどう対応するか。実はアメリカにしろ、中国にしろ、日韓の政治対立などで極東が一枚岩にならないことは、都合が良いのかもしれません。
これからも続くことが予測されるアメリカと中国との様々な駆け引きの中で、最も翻弄されそうなのが、我々の住む極東地域に他ならないのです。
今、中国は英語教育を含め、自国への教育に海外が影響を与えることを極度に嫌う傾向が見え始めています。
日本や韓国、そして台湾がこうした中国の新たな動きにどう対応するか。実はアメリカにしろ、中国にしろ、日韓の政治対立などで極東が一枚岩にならないことは、都合が良いのかもしれません。
これからも続くことが予測されるアメリカと中国との様々な駆け引きの中で、最も翻弄されそうなのが、我々の住む極東地域に他ならないのです。
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『中国語は英語と比べて学ぼう!初級編』船田秀佳 (著)
SVO型で似ていると言われる2大言語、「英語」と「中国語」。本書では、英語と中国語の厳選した 80の比較項目から、似ている点と違う点に注目し、ただ英語と中国語の羅列や併記をするのではなく、しっかりと比較しながら学べるようになっています。中学·高校でせっかく学んだ英語の知識を活用し、日本語·英語、そして中国語の3カ国語トライリンガルを目指しましょう!