It would appear that 2023 has been an eventful year, though in some ways it’s been like running in place: even though we may be maintaining our wellbeing, intractable chaos in some parts of planet earth rages on. Despite that, we sincerely hope that you are in fine fettle as this year fades and a new one dawns.
新大統領が誕生したアルゼンチンが直面する危機
10月、思いのほか暖冬がしつこく、セントラルパークの木々もやっと色づき始めた頃、彼女のアパートのそばにあるレストランでギリシャ料理を共にしました。毎年、彼女に来年こそは彼女の故郷アルゼンチンを訪ねたいと話すのです。
アンドレアの夫はジョンといい、彼が私の古い友達です。その二人が口をそろえて、しばらくアルゼンチンには行けないよと言うのです。
そのわずか2週間のちに、そのミレイ氏が大統領に当選したと欧米のテレビ局が報じました。今アルゼンチンという国家そのものが大きな曲がり角に直面しているのです。
アルゼンチンがたどった栄枯盛衰の近現代史
その後、資本主義の隆盛による持てる者と持たざる者との格差拡大へメスを入れようと、アルゼンチンでは長い間国家による経済統制が続けられたのです。有名なペロン政権による改革です。ナショナリズムと社会主義とが結束したアルゼンチン独特のポピュリズム政権を率いたペロン大統領によって、アルゼンチンは一時的には安定したものの、結局賃金の上昇がインフレに追いつかず、さらにさまざまな企業の国有化が国家財政を圧迫し、国庫を破綻させてしまいます。その試みは最終的には失敗し、彼も政変によってスペインに亡命したのです。
世界有数の先進国だったアルゼンチンは、数十年で途上国の仲間入りをしてしまったのです。実際アルゼンチンの凋落は、世界の経済学者のクラシックな研究課題となっているのです。
2023年の世界と日本を覆う不安と憂い、そして来年へ
今年最後の記事を書くにあたって、世界が再び混乱へと向かっていることをいくつかの英語の表現も紹介しながら強調してきました。そして、混乱期をどのように乗り越えるのかという知恵が問われるとも語ってきました。
民主主義国家として市民が選挙権を持ちながらも、熱い思いをすればそれに懲り、冷たい思いをすればそれにも懲りる一人ひとりが、時には社会主義ポピュリズムに、その次には極右政権に投票しながら、自らの首をさらに絞めてきた様子がうかがわれます。市民が主権者であるはずの政治がなす責任は、そのまま個々の生活、そしてその国の未来に直接降りかかってくるのです。その繰り返しがアルゼンチンの凋落を生み出したのでしょう。
そして、地球の裏側で起きたアルゼンチンでのミレイ政権の誕生は、そのニュースすら日本には十分に伝わりません。
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『日英対訳 世界の歴史[増補改訂版]』
山久瀬 洋二 (著)、ジェームス・M・バーダマン (訳)
シンプルな英文で読みやすい! 世界史の決定版! これまでの人類の歴史は、そこに起きる様々な事象がお互いに影響し合いながら、現代に至っています。そのことを深く認識できるように、本書は先史から現代までの時代・地域を横断しながら、歴史の出来事を立体的に捉えることが出来るよう工夫されています。世界が混迷する今こそ、しっかり理解しておきたい人類の歴史を、日英対訳の大ボリュームで綴ります。
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