Federal authorities learned of Ohtani’s wire payments in January as part of their investigation into Bowyer’s bookmaking operation, a source told ESPN.
(連邦当局が大谷選手からの電信送金があった事実を知ったのは1月のことで、ボウヤーの胴元としての活動に関する捜査の一環であったと、ある情報筋がESPNに語っている)
― ESPN より
水原氏の違法賭博に連邦捜査局(FBI)まで登場したわけは
大谷翔平選手の通訳を務めてきた水原一平氏が、違法賭博でドジャースを解雇されたニュースが日本中を騒がせています。
水原氏がギャンブル依存症にかかっていて、その穴埋めのために、大谷選手が自らの口座から6億円相当を肩代わりしていた疑惑が問題の中心であることは、すでに多くのメディアが報道しています。もし、大谷選手が、水原氏が違法賭博をしていることを知っていて、友人でもあり通訳でもある水原氏を助けようと送金をしたのであれば、その行為自体に違法性がでてくるのではないかというのが多くの人の懸念です。
水原氏がギャンブル依存症にかかっていて、その穴埋めのために、大谷選手が自らの口座から6億円相当を肩代わりしていた疑惑が問題の中心であることは、すでに多くのメディアが報道しています。もし、大谷選手が、水原氏が違法賭博をしていることを知っていて、友人でもあり通訳でもある水原氏を助けようと送金をしたのであれば、その行為自体に違法性がでてくるのではないかというのが多くの人の懸念です。
ただ、このことを理解するためには、まずアメリカの法制度について知っておく必要があります。アメリカは州によって法律が異なるため、スポーツに関するギャンブルを違法としている州とそうでない州があることを、押さえておかなければなりません。大谷選手と水原氏のケースが問われるカリフォルニア州では、それが違法となっているわけです。
また、大リーグ側も、選手の賭博行為は原則野球に関わらないかぎり容認している事実も知っておきたいところです。日本とは犯罪の内容への認識や評価が大きく異なっていることを知らないと、このケースを誤解して捉えてしまう可能性があるからです。
つまりこれは、本来はカリフォルニア州の法律に従って判断されることで、連邦警察つまりFBIなどが絡む種類の案件ではないのです。
とはいえ、州法に抵触し、かつ選手の個人口座から横領した疑いもあることで、水原氏がドジャースを解雇されたことは十分に頷けるわけです。
また、大リーグ側も、選手の賭博行為は原則野球に関わらないかぎり容認している事実も知っておきたいところです。日本とは犯罪の内容への認識や評価が大きく異なっていることを知らないと、このケースを誤解して捉えてしまう可能性があるからです。
つまりこれは、本来はカリフォルニア州の法律に従って判断されることで、連邦警察つまりFBIなどが絡む種類の案件ではないのです。
とはいえ、州法に抵触し、かつ選手の個人口座から横領した疑いもあることで、水原氏がドジャースを解雇されたことは十分に頷けるわけです。
では、なぜこの案件が連邦政府の調査の対象になっているのかといえば、そこにIRSが絡むからです。
IRSはインターナル・レベニュー・サービス(Internal Revenue Service:アメリカ合衆国内国歳入庁)、つまり日本でいう国税庁のことで、水原氏がギャンブルをしていたとするならば、そこで損をしたとはいえ、収入を得た形跡もあるはずで、水原氏の脱税行為が成立するのではないかというのが、IRSが絡む根拠となるわけです。
IRSはインターナル・レベニュー・サービス(Internal Revenue Service:アメリカ合衆国内国歳入庁)、つまり日本でいう国税庁のことで、水原氏がギャンブルをしていたとするならば、そこで損をしたとはいえ、収入を得た形跡もあるはずで、水原氏の脱税行為が成立するのではないかというのが、IRSが絡む根拠となるわけです。
胴元への捜査からみえてくる大きな犯罪の影
とはいえ、実はこの問題の本質は全く異なるところにありそうです。
つまり、FBIもIRSもこの案件でターゲットにしているのは、野球選手とその友人ではなく、おそらくもっと大きな金融犯罪への疑惑です。
それは、水原氏が負債を支払ったギャンブルの胴元といわれるマシュー・ボウヤー(Mathew Bowyer)に対して、連邦捜査官が去年の10月にすでに家宅捜査に踏み切っていることで裏付けられます。捜査の結果、彼の自宅から多くの証拠品やデータが押収されました。
つまり、FBIもIRSもこの案件でターゲットにしているのは、野球選手とその友人ではなく、おそらくもっと大きな金融犯罪への疑惑です。
それは、水原氏が負債を支払ったギャンブルの胴元といわれるマシュー・ボウヤー(Mathew Bowyer)に対して、連邦捜査官が去年の10月にすでに家宅捜査に踏み切っていることで裏付けられます。捜査の結果、彼の自宅から多くの証拠品やデータが押収されました。
その捜査でたまたま浮上したのが、大谷翔平選手の名義で実行されていた2件の送金記録だったのです。その総額が50万ドルで、マシュー・ボウヤーはその名前が大物だったので、儲けを増やすために水原氏との取引を継続したと証言しているのです。
当局がその事実を把握したのは、今年の1月ということですから、アメリカの捜査当局も相当複雑で大きなケースを追いかけているのではないかと想像します。
今回の事件で関心をもつターゲットが、一般の視聴者と捜査当局とでは大きく異なるのです。水原氏の事件は、捜査当局の中では本来の目的を追いかけるうえで浮上した小さな案件にすぎないのです。
当局がその事実を把握したのは、今年の1月ということですから、アメリカの捜査当局も相当複雑で大きなケースを追いかけているのではないかと想像します。
今回の事件で関心をもつターゲットが、一般の視聴者と捜査当局とでは大きく異なるのです。水原氏の事件は、捜査当局の中では本来の目的を追いかけるうえで浮上した小さな案件にすぎないのです。
全米一のスポーツメディアとして知られるESPNがこの情報を掴んで、この2件の送金記録をスクープできたのは、きっと捜査当局によるマシュー・ボウヤーへの追求の実態を追いかけていたからでしょう。
マシュー・ボウヤーは2011年に破産し、その後も日本円で5000万円ほどの賭博による借金を抱えているということです。さらに押収品の中にルイ・ヴィトンなどのブランド品なども加わっていたということなので、彼自身は決して大きな犯罪組織を動かす黒幕とは思えません。背景にラスベガスの賭博組織か闇金融組織があるのではという憶測があり、そこからさらに資金がどのように洗浄され、何に使われているかという大きな犯罪の全貌を洗い出すために、FBIとIRSがそれぞれ別々の立場から調査を開始したのでしょう。
マシュー・ボウヤーは2011年に破産し、その後も日本円で5000万円ほどの賭博による借金を抱えているということです。さらに押収品の中にルイ・ヴィトンなどのブランド品なども加わっていたということなので、彼自身は決して大きな犯罪組織を動かす黒幕とは思えません。背景にラスベガスの賭博組織か闇金融組織があるのではという憶測があり、そこからさらに資金がどのように洗浄され、何に使われているかという大きな犯罪の全貌を洗い出すために、FBIとIRSがそれぞれ別々の立場から調査を開始したのでしょう。
それにしても、ESPNは今回の水原氏へのインタビューに踏み切る前に、相当の洗い出しをしていたことが、今回のスクープからは伺えます。時間刻みに水原氏、さらには大谷選手の関係者との慎重なやりとりの詳細が公にされ、さらに弁護士に問い合わせる前に、水原氏本人や大谷選手の関係者個人に直接あたっている手法も見事です。そのことで、大谷選手側のコメントが変化してゆく様子が手に取るように視聴者に見えてきたのです。
当人も意識していなかったであろう賭博の深い闇
今回のケースで大谷選手本人に捜査の手がまわり、拘束されたり訴追されたりすることは、まずないのではと思われます。大谷選手側に辣腕の弁護士がいるだけではなく、立証するだけの決定な根拠を押さえるまで、捜査が続けられるかも疑問です。むしろ、捜査当局の本当のターゲットは、マシュー・ボウヤーからその先にみえる「何か」ではないでしょうか。
今、賭博の世界はネットによって世界に拡散しています。そのシンジケートも複雑で、単に一つの反社会組織による闇金融行為ではなく、その末端から組織の上部までが、一つの組織図では到底把握できないほど、多様でかつ地理的にも世界を包み込んでいます。それは我々日本人が思うより恐ろしく、残酷で、かつ映画の世界を超えた深い闇となって、思わぬところに資金が流れ、思わぬ活動、犯罪やテロ組織への流通網ともリンクしているのです。
水原氏も大谷翔平選手も、日本ではありえないようなそんな深い闇のほんのふちのふちにさわってしまったことで、今回の事件の報道へとつながってしまったのでしょう。
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『JAPAN: A Short History New Edition』
西海 コエン (著)、ジョン・ギレスピー (監修)
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