Biden looks to strengthen ties with Philippines as Marcos visits White House.
地方の漁業の町で見た市場で働く人々の姿
4月から5月にかけては、周辺で養殖されるミルクフィッシュの収穫の時期です。南シナ海に向けていくつもの河口が集まる大きな入り江にある竹と網で作られた養殖場では、夕方から深夜にかけて人々が集まり無数の魚を船に乗せ、ダグパンの中心部にある魚市場に運びます。そんな漁師を友人にもつ地元の若者が私のオフィスで働いてくれています。彼の友人の船に乗って、養魚場での収穫の光景を見学しました。
都市化と物価高の波に押され出稼ぎに行く人々
「今、彼は韓国に行ってるよ」
「え、どうして」
「工場で働きに」
そんな淡々とした会話はここでは当たり前です。
収穫が終わると若者は海外に出稼ぎです。そのほうがお金になれば、数年間海外に滞在することもよくあります。
「働きすぎるなよ」
そう私は声をかけます。というのも、帰宅後は子どもの世話をした後、別の仕事をする妻のために夕食をつくります。そして、妻が帰宅すると子どもの世話を彼女に任せて睡眠をとり、午前0時から朝8時まで、アメリカのオンラインでの仕事に従事するのです。その後、1時間にも満たない仮眠の後、私のオフィスにやってきます。そんな仕事を斡旋するオンラインサービスが無数にあるのです。
5月になると時には気温が50度にもなるので、炎天下での屋根の工事は大変だと、その運転手さんは私に笑いながら話してくれます。そう、ダグパンは日本の館林や熊谷と同様、フィリピンで最も暑いところとしても知られているのです。
経済成長著しいフィリピン社会のこれから
しかし、そんなマニラ近郊では、鉄道建設のために立ち退かされた人々が、列車に向けて投石をし、つい最近では石を積み上げたりワイヤーを使って列車を脱線させたりする事件まで起きています。事件の背景に何があるのか、捜査はなかなか進みません。ダグパンまでの鉄道の建設にはバス会社が反対し、より快適なタクシーのシステムを作ろうとしても、トライシクルと呼ばれるバイクの側車に人を乗せて走るサービスを担う人々がそれを拒みます。
そんなニュースが報道されるたびに、オフィスに働く若者は、「だからね、フィリピン社会はなかなか大変だよ」とこぼしながら、夕方4時になると次の仕事の準備へと帰宅するのです。
ダグパンのあるリンガエン湾。その湾を一歩外に出れば、そこは中国とアメリカとがつばぜり合いをし、緊張が高まる南シナ海が広がっています。この両大国は、南シナ海でお互いを牽制しながら、フィリピンへの利権の拡大と維持のために睨み合っているのです。
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